離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました
「心配、してくれていて……。あ、実は、達樹さんが帰国する前、離婚をしたいということを相談してたんです。それで、近況どうなったのかって」
包み隠さず、真実だけを正直に話す。
「離婚してバツがついたら先の人生どうなるのかなって不安口にしたら、そのときは俺がもらってやるって冗談言ってくれたり、心配してくれて。だから、今の状況を報告しました」
達樹さんはフロントガラスの先を見つめたまま、「そうか」と言ったきりそれ以上の言葉を発さなくなる。
そうこうしているうちに車が入っていったのは自宅マンションの地下駐車場だった。
契約しているいつもの場所に車を駐車し、達樹さんは無言で車を降りていく。
どう見ても不機嫌というか、怒っているように見える達樹さんの様子に、不安がじわじわと胸を襲う。
助手席側へと回ってきて私を降ろした達樹さんは、やっぱり特に言葉なく私の手を引いていった。
「あの……達樹さん?」
エレベーターの中でも、恐る恐るスーツの背中に声をかけてみる。
しかし反応はなく、達樹さんは握った私の手を離さない。
どうしたらいいのかわからないまま、とうとう住まいの部屋へと到着し、達樹さんが開いてくれたドアから玄関へと入っていく。
が……──。
「あっ! 達樹さんっ」
パンプスを脱ぐのもままならない勢いで手を引かれ、足がもつれそうになりながら部屋の奥へと連れていかれた。