離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました


「笑わないで、ください……」


 抗議の声も震えて迫力なんて皆無。もう頭の中は何も考えられない状態に近い。


「まともな恋愛経験がないと言っていたが、まさかキスも未経験だったか」

「れ、恋愛経験がないんですから、そういうの全部経験ないに決まってるじゃないですか!」


 声を張り気味で抗議する。

 すると、達樹さんは横から両手で私を抱き締めた。

 男性の腕の中に納まるという経験だって初めての私は、鼓動の高鳴りを更に加速させる。

 口づけですでに壊れそうに暴走しているのに、本当に故障してしまうかもしれない。


「やっぱり、連れて行かなくて正解だった」

「えぇ?」

「みのりを可愛がるのに忙しくて、仕事にならなかったということだ」


 それは一体どういうことなのかと解釈に苦しみながらも、なんとなくこれ以上追究するのは自爆しそうな予感がして口ごもる。

 達樹さんは腕を解いて私の顔を再び覗き込むと、躊躇なく再び唇を塞いだ。

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