離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました
「……もしかして、本当に昨日挙げたこと全部やろうとしてるんですか? この一か月間で」
やりたいことを訊かれて、昨日は遠慮なく次々と挙げてしまった。
本当だったら、結婚当初に叶えたかったこと……。
まともな恋愛経験のない私にとって、お見合いをして結婚することになった達樹さんとは、付き合い始めた恋人のように少しずつ時間を共有して距離を縮めていきたかった。
「もちろん。今挽回しなかったら、俺にはあとがないからな」
フロントガラスの先を見据えるその横顔には、微かに笑みが浮かぶ。
言っている言葉とは裏腹に、どこか余裕を感じられる表情だ。
「あとがないって……そんな、無理しなくたって別に──」
「せっかくもらった一か月。みのりには、俺を好きになってもらわないと困るんだ」
そう言うと、付け加えるように「離婚届まで用意されてる身になってみろ」なんて苦笑する。
それを言われてしまうとつい口ごもる。
確かに、どの口が『無理しなくたって』なんて言っているんだと自分にツッコミたくなってしまう。