どうしているの?ねぇ、先輩…



ほんとに?

ほんとに私、一生懸命できてた?


喜んでも、いい?

また勘違いじゃ、ない?


「もしかして今、喜んでもいいところですか?」

「………」

「黙った!やっぱりダメなんですか!?」


焦って聞き直したら、先輩はまたお決まりのように笑い出す。


「も、おま、、…なんなの、…、、ははは」

「……だ、だって」

「まぁとにかく、存分に喜んでいーとこなんじゃね?」



喜んでいい。

その言葉に、心に落ちたズドーーンって重さが、全部取り除かれていくみたいに軽くなる。


もうスッキリ、心は爽快───



「、…」



待って。


もしも。

もしも私が……まだ、なにか勘違いしていることがあるとして。


もしも、こんなに都合のいい勘違いが、世の中にあるとしたら。



「誤解も解けたし、今度こそ帰るわ」


体勢を整えて……ペダルの位置を改めて、今にも踏み出しそうな足が見えた。


待って。


待って。



「待って、瞬先輩、!」



待って!って動いた手は……

踏み出した瞬間の自転車を引き止めるように、ハンドルを持つ先輩の腕を掴んだ。


自分の行動に、1番驚いているのは私自身。

だって体が……考えるより先に、勝手に動いたんだもん。



「え、なに、」

「あの、…」

「ん?」


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