どうしているの?ねぇ、先輩…



もしも……



「あの、……先輩」



もしも勘違いだったら……


これも私の勘違いだったら、いいなって。




「先輩…………彼女、……います、よね、…?」

「……」

「彼女、いるのは……勘違いじゃない、…ですよね」




髪の毛が風に吹かれて、頬の横で揺れている。

邪魔くさいのに、先輩の腕を掴む両手は動かせない。




「、、…」




泣きそうになるのを必死に堪えることが、こんなに苦しいなんて。

手が、こんなに震えるなんて……


こんなに、恋をしていたなんて。


私はなにも、知らなかった……



「あの、ごめんなさい。私、変なこと」

「いるよ、彼女」

「、…」




ごめんなさいって手を離したとき……胸の重さが、舞い戻った。



「彼女がいるのは、勘違いじゃない」

「……」



聞いたのは私なんだから、なにか言わなきゃって思うのに。

なにを言えばいいのか、……なにもわからない。


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