どうしているの?ねぇ、先輩…



家に入ったら、真っ暗だった。

玄関の電気を点けて、靴を脱いで2階の自分の部屋へ向かっていく。

ベッドの上に制服のままドサッと倒れこんで、そのまますぐに目を閉じた。


暗闇の中で思い出すのは、先輩の声。

声が、私に言ってくる。

低くて……現実に引き戻すような、そんな声で言ってくる。


「彼女、いるよ」って。

「勘違いじゃないよ」って。


何度も何度も言ってくる。

そんな声、もう聞きたくないのに……



きっと、私の気持ちも気づかれた。

自分でさえ気づいたばかりの気持ちなのに……


私、どれだけ「恋の仕方」、分かってなかったんだろう。



「、…」



目を閉じてるのに。

なにも見えないのに。

それなのに、閉じた目に涙が滲む。

滲んだ涙が、頬を伝って落ちていく。


ポロポロポロポロ、止まらない。

だってなんか、もう……苦しいんだもん。

胸が痛くて、悲しくて……瞬先輩に会いたくないのに会いたくて。


ぐちゃぐちゃで、苦しい……


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