どうしているの?ねぇ、先輩…



「そ、です、よね、…」

「………」

「わかって、ます」



もう、俯くことしかできなくて……

視界には、お互いの靴と車輪だけしか映らない。




わかってたのに。

彼女がいることは勘違いじゃないって……

そんなこと、わかってたのに。


望みなんてあるわけないって、そんなこと……わかってたのに。


なにも、うまくできない。


生徒会も。


恋も。


なにも……




「風邪、悪化するよ?」

「……」

「って、戻ってきたのは俺か。じゃあ、今度こそほんとに帰るわ」



気づいてないわけがない。

3回目の「じゃあね」って言った先輩が、零れ落ちそうな私の涙に、気づいてないわけがないのに……



瞬先輩の優しさには、線がある。

踏み込んで来てはくれない線が、私にはしっかり見えた。



なんで?どうして?

そんなこと、答えは簡単。


先輩には、彼女がいるから……


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