どうしているの?ねぇ、先輩…
「もしかして、なんかあった?」
「……」
微妙なその顔の原因は、あず先輩?
「昨日」
「うん?」
「ケンカした」
「えっ」
赤い鼻を少しすすった瞬ちゃんは、心なしかムッとした顔。
ケンカの原因を思い出すように、口が少し尖ってる。
「ケンカって、珍しくね?」
「うん、まぁ……しょーもない理由なんだけど」
「うん?」
瞬ちゃんにしてはゆっくりとした足取りで、ゆっくりと考えながら話しだす。
昨日の出来事を今更整理するように、たまに、鼻をすすりながら。
「昨日さ、あずと買い物行ったんだよ。買いたい物があるから付き合ってって言われて」
「うん」
「すんげぇ量の本をまとめ買いしたんだけど、本って重いじゃん?」
「うん、すんげぇ量なら重いね」
「だから俺、持ってやろうと思ったわけよ。男的にはそれって当然の行動じゃん?」
「うん」
そこまで言ったら瞬ちゃんが急に、「はぁぁ…」って大きなため息を吐いた。
笑っちゃうくらいの、深いため息。
「あいつ、持たせてくんねぇの。荷物」
「えっ」
「いっつもそーなの。どんな重いもん持ってても、絶対自分で持つの」
「なんで?」
「女の子扱いされるのが嫌なんだって」
ため息混じりに言った瞬ちゃんの声と同時に、白い息が漏れていく。