どうしているの?ねぇ、先輩…
「あの、じゃあ私はこれで…」
逃げるみたいに、美香は早歩きで俺たちの前から歩き出した。
遠くなるジャージの背中を、俺は最後まで目で追いかける。
そんな俺の隣で、瞬ちゃんは溜め息を吐いて肩を落とす真っ最中。
「はぁぁぁ……」
残された俺らの耳に、サッカー部の声と陸上部のホイッスルの音が聞こえてくる。
それだけしか聞こえない空間の中で、瞬ちゃんを横目で見てみたら、また溜め息を吐いていた。
瞬ちゃん……そんなに溜め息ばっか吐くなら、追いかけて話してくればいいじゃん。
「行っちゃったよ?いーの?」
「よくはねぇ、けど……」
「……」
なんか、やっぱあれだよね。
「瞬ちゃんってさ、実は不器用だよね」
「……。」
いつも女子たちにキャーキャー言われて、学校イチのモテ男とまで言われている瞬ちゃんが、1人の女の子に振り回されてるこの感じ。
なんだろね、この珍しすぎる光景は。
だって俺、初めて見たかもしんないよ。
目も合わせられないくらい気まずそうにする瞬ちゃんも、背中丸めて溜め息吐く瞬ちゃんも、俺、初めて見るよ。
でもなんか、瞬ちゃんには申し訳ないけど……なんつーか。
「俺、楽しいかも」
ごめんね瞬ちゃん。
でも俺、今の瞬ちゃん、結構好きだよ。