どうしているの?ねぇ、先輩…



少しだけ不安そうに聞いてきたのに、繋がっている右手にはぎゅっと力が込められる。

私も精一杯の勇気をだして、ぎゅって握り返して、「うん」って頷いた。


安心した息遣いと同時に、先輩の顔が柔らかく笑っていった。


「じゃあこれからは末永く、よろしくお願いします」

「こ、こちらこそ、あの、不束者ですが、どうぞよろしくお願いします」



今日から、彼女。


瞬先輩の、カノジョ。


初めての、彼氏と彼女。


頑張ろう。

ちゃんと彼女を出来るように、頑張ろう。











「よし、着いた」

「ありがとうございます」


自転車で家まで送ってもらったのは、6時過ぎ。

外は少しだけ暗くて、カラスが何羽も鳴いている。


< 318 / 550 >

この作品をシェア

pagetop