どうしているの?ねぇ、先輩…



今でも鮮明に覚えてる。

雨の中、逃げるように俺の家に来た美香の姿。


気持ち悪い、吐くって言いながら、ずっと泣いてて。


泣きながら、あいつに聞かれたんだ。



───”お母さんたちは……家でなにをしてるの?”



それがわからないほど、美香は純粋だったのか。

それとも、自分の想像していることを否定してほしかったのか。


2人で同じことをしたら、お母さんの気持ちも少しはわかるかもしれない、って。


今考えれば、どんだけ浅はかでバカだったんだって思うけど。



あの時の俺たちには、

あの時の美香には、それしか救いがなかったように見えたから。


俺たちはバカみたいに、その行為を真似たんだ。



「………ほんとガキすぎ」



もしあいつが親に捨てられるなら、俺は今すぐにだって一緒に高校を辞めてやれるのにって。

こんなことを思うのも、ガキだからなのか。


でも。

人から見たら重過ぎる俺の愛情だって、不足している人間にとっては丁度いい重さのはずなのに。


それなのに、どうして。



「なんで届かねぇんだよ……」



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