どうしているの?ねぇ、先輩…



屋上のいつもの場所に座って、夏の風を受ける。



「…………んだよ、まじで」



なんとなく、美香と出会ったときのことを思い出していた。


あれは中学の頃だった。

夜の公園で偶然会った俺たちは、全然話したこともないクラスメイトで。


だけど泣いているあいつを放っておけるわけもなく、ガキながらに必死に慰めたのを覚えてる。

今思えば丁度あいつの両親がおかしくなりだしたときで、だからこそ美香もすげー不安だったんだと思う。

話したこともない俺に打ち明けるくらい、怖かったんだと思う。


泣いて泣いて散々泣いたあと、あいつ、腹減ったって言い出して。

遊んだ帰りで全然金持ってなかった俺は、近くのコンビニで1つのチョコレート菓子を買った。


公園で2人で分けて食ったら……美香、美味しいって笑って。



多分、そこなんだよな。


やっすいチョコ菓子食って、「美味しい」って笑ってくれた瞬間に、きっと俺の全てが持ってかれた。


それからはずっと、あいつの家の事情を全部聞くようになって。


話を聞くだけでなにもできないまま、中3になったとき……

あいつの母親が、初めて家に男を連れ込んだ。


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