どうしているの?ねぇ、先輩…
「いや、付き合ってないよ。いちかは同じマンションに住んでるただの大学の同期。それだけ」
「……」
そっか、大学の同級生なんだ。
ただの同級生。
ただの……
「……」
でもあの人。
───“いいよ、早く戻ってあげなよ”
───“じゃあ泣くなって”
……あの人、泣いてた。
本当に、ただの同級生?
「美香」
「…はい」
「ちょっと、こっち向いて?」
隣に座っていた先輩が、向かい合うように体をこちらに向けたから、私も向かい合うように座り直した。
「ずっと謝りたかったんだ。……あの日のこと」
「、…」
あの日……
それは、お母さんが家を出た日。
「電話くれたのに……それなのに俺、」
「やだ」
「え?」
先輩が何に対して謝ろうとしているのか分かった途端、声が勝手に出ていた。
「やだ、謝らないでください」
「え、なんで」
「大丈夫です、私先輩のこと信じてたし今も信じてるし、あの日なにがあったのかは知らないけど、でも大丈夫です。だから謝らないでください」