どうしているの?ねぇ、先輩…
「あの日、家を出てすぐ、章くんの両親経由でお父さんから電話があったんです」
「え?」
「私の携帯は壊れてたから、章くんのスマホに掛かってきて…」
大体のことは聞いたって、先輩はそう言っていたけれど。
ここで驚くということは、もしかするとあんまり詳しくは聞いていないのかもしれない。
「お父さん、私がお母さんと一緒に家を出たと思ってたみたいで……最後の挨拶のつもりで、電話をかけてきたんです」
「でも、美香はお母さんと一緒にいなかったんだよな?それを知って、お父さんは?」
「……一緒に住もうとは、言ってくれませんでした」
「……」
望んでいた言葉は、結局お父さんからも聞けなかった。
「あ、でも私が住む家を借りてくれたり、当面の生活費を出すことを約束してくれたりはしたんです。高校を辞める手続きも、ちゃんとしてくれました」
「ちゃんとって…」
とても有難いことのように話すけど、それが親としてやるべき最善のことではない。
そんなの、私だってわかってる。
わかってるけど…
「高校に戻ることは、考えなかったの…?」
「…早く大人になりたいって思ったんです。お母さんにもお父さんにも捨てられたなら、金銭の援助がなくても生きていけるように、働きたいって」
そうすれば先輩に会えたとき、負担をかけずにまた一緒にいられると思った。
離れても尚、私はそんな未来を夢見ていたんだ…
それに……今思うと、半分は私なりの抵抗だったのかもしれない。
不幸な家庭環境で育ったことへの親への当てつけとして、あのときは少しやさぐれていたのかもしれない。