どうしているの?ねぇ、先輩…



「美香」

「、…」



立ち止まったのは、先輩の住むマンションの前。

暗くなりかけている空の下で、私たちは向き合った。



「ごめんな、俺の器が小さいせいで、美香に嫌な思いさせて」



笑いたくもないのに笑ってくれる先輩の顔に、泣きそうになる。

伝わらない精一杯の想いに、泣きそうになる…



「美香の気持ちは分かったから」

「……」

「美香が大事にしたいと思う人たちを、今までみたに大事にすればいいよ」

「、…」

「お前の人間関係を壊す権利なんて、俺にはないもんな」

「、」

「今まで通り、章くんとは友達でいなよ」

「…でも」

「それを美香は望んでるんだろ?だったら俺がそこに歩み寄るしかねぇじゃん」




“歩み寄る”


その言葉に、またなにかを思い出す。


そうだ、あず先輩と瞬先輩のこと。

2人はあのとき、どうして別れたんだっけ…



───“お互いに尊重し合えるものならいいけど、意見が食い違ったまま、なんとなく誤魔化すことも多くて”

───“結局、長く考えてもどれだけ悩んでも、歩み寄るって答えには辿り着けなかったの”



お互いに歩み寄ることが出来なかったから、2人は別れた。


じゃあ、どちらかが歩み寄ることさえ出来れば、


瞬先輩が歩み寄ってくれるなら、


この先はきっと、大丈夫……だよね?


< 502 / 550 >

この作品をシェア

pagetop