どうしているの?ねぇ、先輩…



「そうだ、実は私、今度正社員の試験を受けようと思うんです」

「え、急に話し変わった?」



突拍子のない話題に、それでも先輩は抱きしめる腕を離さない。

顔は見えなくて、それはこの間までとても不安なことだったけど…


今は見えなくても、すごく心は穏やかだ。



「何があったとしても、今度こそずっと先輩と一緒にいたいから。ちゃんと自分の足で立って、もっと自立しようと思うんです。それで、みんなのことも支えられるように……あっ!!」

「え、なに!?」



驚いてビクッと揺れた先輩が、肩を掴み体を離して私を見た。



「もしかして今、可愛げがないって思いましたか?」

「え?」

「高校生の頃、言ってましたよね?」



───“別にいいじゃん。助けてって頼ってくれるほうが、男は嬉しいもんだよ”

───“助けるなって言うより、よっぽど可愛げがあっていいと思うけど”


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