分岐点  ~幸せになるために

「そうだ。カアちゃんから 電話があってさ。沙耶香の親に ちゃんと挨拶に行きたいって。」


「御両家顔合わせ的な?」


「ハハッ。沙耶香 ひと事みたいに 言うなよ。」


「だって。私達 何も変わらないのに。田舎って 面倒ね。」


「外野が煩いよな。もう大人なのにさ。」


「でも それだけ 大事に思われてるのね。頼太も私も。」


「そう言えば 犬や猫の子 貰うのとは 訳が違うって。カアちゃん 言ってた。」



私も頼太も 親にとっては 大切な存在で。

そんな幸せを これからも 引き継いでいける。


私達には こういう幸せが 似合うのだから。


「沙耶香。結婚式 盛大にやろうか。それで 親から いっぱい お祝い 取ってやろうよ。」


「ヘッ。恥ずかしいな。頼太も お色直しとか しちゃうの?」


「そうそう。スモーク焚いて ゴンドラから 降りて来るとか。」


「フフフッ。今時 そんな結婚式 あるのかなぁ。」


頼太は いつも 溢れる愛情で

私を 包み込んでくれるから。


私は 頼太の 手の中で

伸び伸びと 笑っていられる。


「頼太…。」

「んっ? 何…?」


「ううん。何でもない。」


「なんだよ。気になるなぁ。」


「……いいの。」

「言えよ。言わないと…」


私を 羽交い締めにする頼太。


「キャッ。わかった…言うって…」

腕を緩めた 頼太を じっと見て。


「頼太。ありがとう。」


「なんだよ。急に。」

「ううん。言ってみたかったの。」


「もう。沙耶香…?」


もう一度 頼太に ガッチリと 抱きしめられて。


こんな幸せって あるんだね。







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