【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。




 「……ムリしなくていい。食べれる物だけ、食べておけ」

 「……はい」

 俺は朱鳥の頭を撫でると、そのまま病室を出た。そして小児科へと一度戻った。

 「……神山先生、大丈夫、ですか?」

 看護師の田崎が、俺を心配して声をかけてくれた。

 「田崎か……。ああ、俺はなんとか大丈夫だ」

 「奥さん……。大丈夫、ですか……?」

 「いや……。今は大丈夫じゃないな。朱鳥はすごく自分を責めてる。赤ちゃんを失ったのは、自分のせいだって。……立ち直るには、まだ時間がかかると思う」

 田崎はそんな俺を心配そうに見つめていた。

 「……大丈夫だ。俺が朱鳥のそばにいる。何も言わなくても、そばにいてあげるだけでいいって、野山先生にも言われたからな」

 そうだ。ふたりとも立ち直るにはすごく時間がかかる。だけど今すぐにじゃなくてもいい。ゆっくりゆっくり、ふたりで歩んでいければ、それでいい。焦る必要なんてない。……ゆっくり、歩んでいこう。ふたりならきっと、乗り越えられるはずだ。


 
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