【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。
「先生……!」
「はる君!大丈夫か!?」
はる君は苦しそうに胸を押さえていた。汗をたくさんかいている。その姿を見て、はる君のお母さんは悲しそうにしている。
「先生!はる君の血圧が低下しています! どうしますか?」
「とりあえず血圧を上げよう。それから体温が上昇してきているから、解熱剤も投与しよう」
「はい!すぐ準備します!」
俺ははる君の胸に聴診器を当てて、心臓の音を聞いた。……まずいな、このままじゃはる君は……。
「先生……。はるは、大丈夫なんですか?」
「……大丈夫、今処置していますから」
お母さんが不安になるのも分かる。だってこれが初めてじゃない。はる君は入院してから、何度もこういう状況になっている。
その度に俺たちは、何度もはる君を処置した。なんとか安定はするものの、いずれはもう、処置しても間に合わなくなる日がやってくる気がする。
はる君のこの重い心臓病を治すには、心臓移植しか方法がない。 だけどドナーが見つからないと、それは出来ない。