BLADE BEAST
ポタ、ポタ…と顔に水滴が何粒か落ちてくる。

片手に浮き輪を持つ晄は、コテンと首を傾けて私へと手を伸ばしてきた。



伏し目がちなそれはまつ毛が長いことをよく見せつけてくる。

前かがみになり、距離が近くなる。

影ができて、晄の指は私の腰元へと────触れる。





「…もっとよく見せて?」





パサリ、とパレオが落ちた。

解かれるそれは、何の役目も果たすことなく晄の手によって解かれた。





「たまんない」





…囁くような晄の声色は色気を帯びる。

すっかりその気。

魅惑的に上がる口角。

わざとスルリと、お尻を少し触りながらそのまま腰に回された腕に、私は簡単に海へと誘われた。





あ…、しまった。

私はこうやってまんまと晄に良いように動かされる。

断れないのは…少なからず晄といる時間は悪くないと思っているからかもしれない。
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