BLADE BEAST
繁華街の中心部の路地裏。

灰色がかった古びた雑居ビルに囲まれた薄暗い場所で、アスファルトの匂いに混ざった血液の独特な香りが絶えず鼻についてくる。

バキッ…、ボキッ…、と何かが折れる音が、闇に隠れるような静寂の中で猟奇的に響いていた。




「ゔぁああ……!!」




私は、ただその光景を見ていた。


明るいハチミツ色の髪がフワリと宙を舞う度に、赤い液体が辺りに飛び立ってゆく凄惨な場面。

…それなのに、かなり冷静さを保っていたって以上に、ただ無言で蹴り続ける眞紘の姿を見て寧ろ熱くなってゆくものを感じていた。




「…死ねよ」

「……や……めっぐぁ!!!」

「…イきてぇんだろ?」

「あ"ぁっ…!!!」

「────安心しなよ。内臓ごと、イかせてやるから」

「……あ"あ"あ"!!!!」




容赦のない残虐な蹴り。

飄々として余裕そうな顔をしているようで、射抜くような瞳は黒みを帯びて尖らせて、凄まじく冷たい殺気は辺りを震撼させるほどだった。

眞紘は────かなり怒ってる。
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