BLADE BEAST

牽制と、牽制。

トクン、トクン、と自分の気持ちに分かってしまった瞬間から、あまりに単純すぎると言わんばかりに心臓の音が大きくなっていった。

なんだこれ。こんなに心音が加速したことってないと思う。未だ嘗てどんなことに対してもこれほどまでに取り乱すことはなかったから、尚更どう対処したら良いのか分からない。

苦しいけど、嫌じゃない。

もどかしくて、愛おしくなる。



そのまま、少し潤んだ瞳で彼を見つめる私は、背中に回していた腕の力をキュッと強めてまた自虐的に心音を加速させていて。

涼しげなのに、寂しげ。

ツンとしてそうで、優しい。









────私、こんなに眞紘のことが好きだったんだ。
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