溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。
……っ。
「あの子のことが好きなの?」
勝気な瞳が揺れていた。
俺を見上げながら唇を強くかみしめ、シャツの袖をぎゅっと握る真帆に、その想いは強く伝わってきたが。
「……ごめんっ……」
その手を振りほどき、乃愛のあとを追いかけた。
乃愛は、なにを思ってあの場から逃げたんだろう……。
教室に戻っても乃愛の姿はなくて、5時間目ギリギリに戻ってきた乃愛の目は少し
赤かった気がした。
そもそも俺たちはつき合っているわけじゃない。
何をどう弁解したらいいんだ?
今まで自分の思うように乃愛を翻弄してきたくせに、大事なことは一つも伝えていなかった。
俺の想いも知らない乃愛は、ただいいように利用されたと思っているのかもしれない。
そう考えたら、今まで俺は何をやっていたんだと、後悔ばかりが押し寄せてきた。