溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。
帰ってからちゃんと話そう。そう思ったけれど。
「乃愛」
……避けられた。
俺を見た途端、二階へあがり部屋にこもってしまった。
他の家族がいる中、乃愛の部屋に押し入ることもできず、話をすることはできなかった。
次の日真帆にはハッキリ告げた。
「ごめん。俺、真帆の気持ちには応えられない」
「でも、ずっと凪くんのことが好きだったから。そんなにすぐに諦められない……だから、想っててもいい?」
気持ちに応えられないうえに、想うのもだめだとは言えず。
「でも、それじゃあ真帆は幸せになれないよ」
俺として、精いっぱい真帆に対して向き合ったつもりだったが。
「それでもいいのっ……」
真帆の意思は固かった。
乃愛とのすれ違いが少し続いたある夜。
「おーい」
和室のドアが開き、顔をのぞかせたのは嶺亜だった。