溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。
嶺亜が出て行き俺も和室を出ると、乃愛がちょうど階段から降りてきた。
手にはパジャマ。これから風呂に入るみたいだ。
「の……」
今日もやっぱり俺の姿を見ると逃げるように脱衣所に駆け込み、ドアをバタンと閉めてしまった。
「はあ……」
名前を呼ぶことさえ出来ないのか。
こんなにあからさまに避けられてたら、話なんて聞いてもらえないよな。
──と。
そうか、今なら聞いてもらえるかもしれない。
俺は一か八か、強硬手段に出た。
脱衣所のドアを開けると、温かい空気が漂っていた。今日はミルクの甘い香りが
した。
どんな気分で入浴剤を選んでいるのか分からないが、様々な色や香りの湯がバスタブの蓋を開けると現れる。
それが、最近の楽しみなんだ。家に戻ってからも、入浴剤を買って入れようと思ってるくらいには。