弔いの鐘をきけ
「もう充分よ。それに頭でっかちなあの娘をお嫁さんにもらってくれる男性なんかそう簡単に現れないわ……一度も恋の話をしてくれないんだもの……あ、これジェシカには内緒にしてね。恋したことないでしょ、なんてプライドの高い彼女に言ったらミトでも噛みつかれちゃう」
ベッドに横になり、ぱらぱらと本を開いていたニコールは静かに応え、青年の澄み切った青い瞳を見つめる。
「それに。いつ死んでいてもおかしくなかった幼少時代を思えば、充分すぎるわ」
「そりゃ、ニコールは満足だろうけど」
残されたジェシカはどうなる?
不安そうに揺れる瞳に、ニコールは首を傾げる。なぜ、彼が彼女を気にかける必要があるのだろう。血のつながりがあるわけでもないのに。
「あのね、ミト。ジェシカはもう十八よ。わたしが後先ないことだって知ってるし、あの子の両親はまだ健在してるの。恋愛経験がゼロなのは心配だけど、それ以外のことなら心配しなくても、大丈夫でしょ」
「まぁ、な……」