弔いの鐘をきけ
医者からはあっさり許可が下り、ジェシカに介助されながら外出の準備をする。
寝汗でぐっしょり濡れたパジャマを脱ぎ、ニコールは久々にアイロンがけされたワイシャツに袖を通し、ジェシカに支えられたまま、姿見で自分の戦闘服姿を改めて観察する。
「……やっぱり痩せたわね」
ジェシカはそんなことない、と口を開こうとしていたが、ニコールに遮られ、淋しそうに笑って首を振っている。
それを見て、ニコールはニヤリと笑う。
「行くわよ。愛しの我が家へ」
* * *
タチアナ書房はニコールが作った会社だ。
幼いころから父親に最低限の読み書きしか習わせてもらえずにいたニコールだったが、その反動か、父親が死んでからは活字に溺れ、ついには本を世に出す仕事を立ち上げるまでになっていた。
当然、女が本など読むものではない、あれは男のものだと最初のうちは反発も強かった。けれど、活字は国の軍部が諜報や機密を扱うためだけに存在するわけではない。使い方さえ誤らなければ小説や脚本と呼ばれる文芸作品で夢を見ることができるし、戦争以外の分野でも適切な情報を知る道具になりえるのだ。
寝汗でぐっしょり濡れたパジャマを脱ぎ、ニコールは久々にアイロンがけされたワイシャツに袖を通し、ジェシカに支えられたまま、姿見で自分の戦闘服姿を改めて観察する。
「……やっぱり痩せたわね」
ジェシカはそんなことない、と口を開こうとしていたが、ニコールに遮られ、淋しそうに笑って首を振っている。
それを見て、ニコールはニヤリと笑う。
「行くわよ。愛しの我が家へ」
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タチアナ書房はニコールが作った会社だ。
幼いころから父親に最低限の読み書きしか習わせてもらえずにいたニコールだったが、その反動か、父親が死んでからは活字に溺れ、ついには本を世に出す仕事を立ち上げるまでになっていた。
当然、女が本など読むものではない、あれは男のものだと最初のうちは反発も強かった。けれど、活字は国の軍部が諜報や機密を扱うためだけに存在するわけではない。使い方さえ誤らなければ小説や脚本と呼ばれる文芸作品で夢を見ることができるし、戦争以外の分野でも適切な情報を知る道具になりえるのだ。