ちょっと大人だからって、ずるい。
それはそれは、お店に売っているいろんな種類のチョコレートをくれた。
泊里が作ってくれる手作りのチョコレートしか知らない私に、いろんなチョコレートの形を教えてくれた。
泊里が作るチョコレートもとっても死ぬほどおいしいんだけれど。
スーパーマーケットに行ったことがない私に、いろんな商品を教えてくれた。
全部、湊都が教えてくれた。
なのに
「そうだっけ」
予想外の一言が、湊都の口から放たれた。
「え?」
忘れちゃった?
私がチョコレート好きってことは覚えてくれていたのに…?
「…疲れたから、少し寝る」
湊都は誰にでもなくそうつぶやくと、ジャケットとネクタイをソファーに投げ
先ほど私が寝ていた寝室へ足を運び、姿を消してしまった。