心理作戦といこうか。
きっと数ヶ月後は賑やかになる。
安心して出迎えられるように準備をしよう。
それまでは玲君と二人きりの時間を大切にしよう。

「ねえ?玲君、」

夕食を食べ終え、寝仕度を済ませた私たちはベッドの布団に入っている。

「ん?」

「玲君は何でもお見通しなのはどうやってるの?」

副業をしていた日からどれくらい経ったのだろう。
区役所での仕事とレストランのバイトをし、休日やバイトがない日はアパートでごろごろとアニメを見たりゲームをしたりだらだらと過ごしていた日々が懐かしく思う。

「え?
 いきなりどうした?」

「だって、何でもお見通しなんだもん。
 不思議だなあって思ってたの。」

「ん?そうか?」

「ふふふ。
 だって、まるで魔法にかけられたみたいにどんどん玲君の事が好きになっちゃったもん。」

絶対そう。
隣でケラケラと笑う彼。
種も仕掛けもないマジックに。
いや、もしかしたら知らない内に魔法使いになってしまったのか。

「ねえ?玲君、
 その魔法は私にしか使っちゃだめだよ!」
と、彼の左腕に抱きつく。
服を着ている時は細く見える彼の腕が実は筋肉質でぎっしりしているこの腕も大好きだ。

「真琴は本当に突拍子もない事を思い付く天才だな。
 まあ、ある意味魔法を使ったかも知れないが。
 となると真琴の考えも一理あるな。」

一人納得している彼。
こんな風に物思いに耽っている姿も格好いいなと思うのはやはり彼の仕業だろう。
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