心理作戦といこうか。
なんとも几帳面な玲くんの性格と大雑把な私の性格にやきもきしてしまうが、時間がないのでストップをかけるが…不安は過る。
これって相性はどうなんだろう?とまた不安が見つかってしまった。
不安が見つかる分、安心できるところも見つけたいなと思いながら着替えを済ませ、歯磨きをし鞄をリビングを取りに行ったら玄関へと向かう。

「玲くん、お待たせ!」

「ギリギリ間に合ったな。
 よし。行くぞ!」

玲くんはスーツをビシッと着こなしていて思わず、ドキッとしてしまった。
今日はネイビーの上下のスーツにホワイトのワイシャツ、ネクタイはブルーで決めている。
私はというと…ごくごく普通のリクルートスーツのような服装だ。
隣に並んで歩くのを少しだけ、躊躇う。

「うん。」

「真琴。これ。失くすなよ。」

当たり前のように手を繋ぎ、当たり前のように合鍵とやらを受け取ってしまった。
高級なマンションは鍵も私のアパートと違いカードキーらしい。
今時、どこもそうなのかな?
カードキーが入っているパスケースには"3701"と書いてある…私が部屋の番号を忘れてもいいように彼なりの気づかいだろう。
パスケースも私が大好きなうさぎのキャラクターのもの。
ここで一つ、安心を見つけた。
「ありがとう。」と三つの意味を込めて彼に伝える。。
合鍵をありがとう。
可愛いパスケースをありがとう。
部屋番号を書いておいてくれて、ありがとう。

「玲くん、ありがとう。
 失くさないように気を付けるね。」


この小さな幸せを忘れないように心の片隅に大事にしまっておこう。


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