心理作戦といこうか。
玲くんがドアを開けるとカランカラ~ンと来客を知らせるベルと共に可愛らしい女性が一人、「こんばんは!いっらっしゃいませ。」と言いながらやって来た。
店内を漂う美味しい香りにお腹が鳴りそうだ。

「予約していた野中です。」

「はい!お待ちしておりました。」

こういった対応な苦手な私は玲くんが対応してくれるのを彼の影になりながら見ている事しか出来ない。
そんな事を見透かされているから、入店と同時に「真琴は俺の後ろにいればいいから。」と言われてしまう始末だ。

別の事を考えようと店内を見渡す。
テーブルは10から15脚ほどある感じ。
その殆んどにお客様が居るので人気のお店なんだなと思った。

店内は外壁と同じ色のクリーム色の壁紙。
所々に先ほど見た外壁のように木の板でレンガ造りのようにして壁に貼ってある。
そのレンガ造りの所々にはお花や葉が飾ってありとてもお洒落な雰囲気の手助けをしている。
店内を流れるBGMも優しさ音色が心地よくとてもセンスの良いお店だなと感心してしまう。

「こちらへどうぞ」と案内をされる時も玲くんの影になりながら奥へと進む。

「真琴。これがメニュー。
 何が良いか決まったら教えて。呼ぶから。」

「うん。分かった。」

レストランに到着する前までは今日はパスタとグラタンにしようって決めてたのに、ここのお店はピザを焼くために窯がある事に気が付きピザも食べたくなってしまった。
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