心理作戦といこうか。
注文が決まり玲くんがスマートに対応をしてくれるので、私はそれを頬杖をついて見ているだけでここでも全てお任せしている。
此処に来て何も出来てないのに、良く一人暮らしが成立していたなと自分に感心していたら注文が終わったみたいだ。

「以上で宜しいでしょうか?」
「はい。」
「では、お待ち下さいませ。」とこのように。
玲くんが慣れているのか、私が人見知り過ぎるのか、それともどちらもなのか。
余りに玲くんと私が違い過ぎて萎縮してしまう。
店員さんと目を合わせるのも苦手だ。

「玲くん、ありがとう。
 そういえば、最近は研究室に泊まり込みはしてないの?」

「今は学生時代とは違うからな。
 それなりに人間らしい生活をしているつもりだよ。」

「今はどんな研究をしてるの?
 昔と同じようにお薬関係?」

大学と頃から誰も知らないこと、未だに明らかにされていないことを解明するために研究に打ち込んでいた。
難しい治療の研究をしているんだっけ?
論文の為に全く家に帰らないと玲くんのお義母様がよく話してたのを思い出す。

「ああ。昔と同じようにお薬関係だよ。
 俺の専門分野だからな。
 むしろ、それ以外に興味があるのは真琴くらいだよ。」

「なっなにそれ!?
 ひどい!!
 私はお薬と同じ分類なの!?
 まあ…お薬は大事なものだけど…」

玲くんってたまに変な事を言うから困る。
しかも、お薬と同じ扱いだなんて。
私はもう、立派な大人だ。

「真琴。何勘違いしてるんだよ。
 薬と同等に考えているわけないだろ。」

「ふ~ん」と怪訝そうな目で玲くんを見る。

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