心理作戦といこうか。
遠くから呼ばれた気がして目を覚ます。

「水谷さん!点滴終わったから。
 付き添いの方が待ってるんじゃないの?
 お薬が出てるからしっかり食べてお薬飲んでぐっすり寝なさい。」

ああ。もう、二時間経ってしまったのかと残念に思う。
ベッドに横になった時は二時間辛いなって思っていたのにぐっすりだった。。。
(さあ、何処へ帰ろう。。。)

起き上がり、床に足をついて立ち上がる。
はあと一つため息を吐いて歩き出し、「ありがとうございました。」と看護師さんにお礼を伝える。

「しっかり休みなさいよ。お大事に。」と言われて今の私は弱り果てているからか、その一言でさえも泣きそうになる。
「はい。ありがとうございました。」
耐えらないのでドアに手を伸ばし開ける。
(はあ。弱くなったものだ。山内さんを探さなくちゃ。)

歩きだすと、先ほどまでの身体のだるさがなくなり軽くなった気がした。

「あ!水谷さん、ごめん。
 このファイルを受付に持っていって、"点滴終わりました。"って伝えて。
 受付からお会計のやり方や調剤薬局の説明があるからそれを聞いて。」

「分かりました。」

はい!と手渡されたファイルを受け取る。
お会計してお薬屋さんか。
病気になると忙しいのね。
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