心理作戦といこうか。
おもむろにミネラルウォーターのペットボトルを玲くんに差し出され頂く。
点滴後、飲まず食わずなのを思い出してお腹が空いてきた。
(ここは一つ、我が儘を聞いてもらおうじゃないの!!)

「玲くん!!お腹が空いてきた!!
 玲くんが連れて行ってくれたレストランのピザが食べたいの。
 確か…お持ち帰り出来たよね?
 買ってきて!!」

「それは元気になってからな。
 今日はお腹の調子も心配だからお粥だな。
 作ってくるから大人しくしてろよ。
 変なことを企んでいるのが発覚したら先ほど言ったとおりにする。」

だ・か・ら!!
何で形勢逆転するのかなあ~

「分かったからスマホ返して。
 じゃないと出ていく!?って!?
 玲くん!?わたしは病人!!」

寝室を出ようとした玲くんは私の発言が気に食わなかったらしく、鬼の形相でベッドまでリターンしてきた。
逃げるように布団を頭まで被ったがバサッと捲られる……と同時に抱き締められる。

「真琴?
 もう、二度と勝手な外出はしないと此処で誓って。」

「最近、すぐ怒る。」

「それは真琴が心配だからだよ。
 むしろ、それ以外の理由がない。
 俺は真琴に弱いんだよ。
 また居なくなるなんて冗談でも言わないでくれ。」

「わたしによわい?」
その言葉が理解できず首を傾げるが「今はお腹を満たすのが優先」と言われベッドに寝るよう促される。

布団を掛けて「玲くんが戻ってくるまでゆっくりしてるね」と言うと額にキスをして、「とりあえず、お粥を作ってくるから話はそのあとに。」と言われ玲くんはキッチンへと向かった。

「はあ~ドキドキしたあ~」
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