心理作戦といこうか。
パーソナルスペースは徐々に縮める。
週末。
二日間有給休暇を貰い、週の半ばからは復帰し体調は回復したので約束通りにマンション周辺の散策へ。
事前に知りたい場所をリサーチしてあるので、まずはその場所までの道のりを教えて貰う事にした。

彼が言ったように玲くんのテレビには私の好きな番組や録画していた番組がびっしり録画してあったので休暇中堪能させてもらった。
そこまで完璧だと快適なのを良いことにグータラしてしまって、以前のような仕事終わりに副業なんて考えられなくなってしまった。

それに、休暇が明けたら住民票を玲くんのマンションの方へ移動するよう言われ、手続きを終えた私は正式にこの部屋の住民となった。

「真琴?準備できたなら行くぞ。
 今日はたくさん歩く予定だからこれを履いて。」

「うん。準備ばっちり!
 スニーカーって私も持ってたと思うけど。。。」

「真琴が持ってたスニーカーってあれ、いつ買ったやつだよ?
 お義母さんもあれ見て、"これは要らないわ"って言うから悪いけど処分した。
 だから、これを履いて。」

自分勝手の人たちに囲まれるとたまったもんじゃないな。。。
あと、何を勝手に処分されているのだろうと怖くて聞けないや。。。
とりあえず、私が持っていたスニーカーより遥かにお高そうな新しいスニーカーを履いてみた。

「サイズ、ぴったり!
 しかも、履きやすい~歩きやすい~」
と、まあ、単細胞な私は玲くんから貰った履き心地最高のスニーカーにうきうきしてしまったわけで。。。

「それじゃ、行こうか。」
「うん!」
分かりやすい自分に笑えてきちゃう。。。
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