心理作戦といこうか。
本日の目的を果たし、帰り道にあるスーパーに寄って買い物をしてから帰宅する。
一人暮らしはしていたけど大したものは作れないのでカレーとかシチューとか麻婆豆腐などが作れるような食材ばかりになっちゃったけど。

玲くんは私が料理が出来ないのを知っているから無理な注文をしてこないから、それは助かった。
繋がれた手を歯がゆく見つめる。
子どもの頃なら平然と出来ていた事が大人になると余計な感情が邪魔をする。

「ねえ?
 本当に玲くんも絵はがき教室の体験に行くの?
 つまらなくないかな?」

「だから、予約したんだろ?
 楽しそうじゃん。
 ああいうのは集中力を鍛えられそうで良いよ。
 むしろ、俺からしたら真琴こそ、本当に始めるのか?って思うけど。」

「無理してないなら良いけど。
 とりあえず、一日体験をしてから本格的に始めるかを決める予定だよ。
 今日の夕食は玲くんもお手伝いしてね!
 玲くんのお家の炊飯器デビューだ!
 使い方、教えてね~」

私が絵はがきを始めたいと思ったきっかけは、母の友人が毎年、夏になると残暑見舞いのハガキを送ってくれてそれが届く度にいつか私も絵はがきを描いてみたいと思っていたから。

まさか、玲くんまで一緒に来るなんて思ってもみなかったから当然のように一日体験の申し込み用紙に記入した時はびっくりしたなあ。

好きな人と趣味が合うのは良いって聞くけど、確かにそうかも。
玲くんはまだ趣味の領域じゃないけど私の好きな事に興味を持ってくれるのは嬉しいことだと知った。
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