心理作戦といこうか。
玲くんの部屋のキッチン用品をまじまじと見るのは初めてだけど、どれも真新しく使った形跡があまりない。
何となくそれを不自然に思うのは私が神経質だからなのか…不安が過る…。

「真琴。お米は二合で良いかな?」

「え?あっうん。
 もし残ったら冷凍しておけば食べられるから二合で良いと思うよ。
 玲くん、不思議な程にキッチン用品がピカピカなんだけど、どうして?」

「それは真琴と暮らすから一新したに決まってるだろ?
 前に住んでいた所は大学の借り上げでほとんど寝に帰っていただけだから、家電は冷蔵庫とテレビくらいだったからな。
 真琴が心配する事はない。」

そうなのか…。
って事は、玲くんもほとんどの物を処分して此処に引っ越ししたって事か。
確かにとても綺麗な高級マンションだから新しいのを取り入れたい気持ちは良くわかる。

「じゃあ、玲くんも私と同じだったんだね~」

「ん?」

「だって、色んな物を処分したんでしょ?
 私の場合が勝手に処分されたから立場は違うけど!」と子どもの様に膨れっ面をする。

「確かに処分については真琴の許可はなかったかもな。
 その事は謝るよ。ごめん。」

素直に謝罪をし、頭を下げる彼。
ハッとして謝罪を受け入れる。

「れっ玲くん!!
 頭を上げて!!
 もう、怒ってないから!ねっ?」

「真琴。ありがとう。
 ちなみに俺は副業を千景に一番に相談したことをまだ許してないから。」

形勢逆転…?
それについては終わったはずでは…?
唖然としていると額にキスが落ちてきた。
< 87 / 167 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop