心理作戦といこうか。
降りるのが昔から苦手な私は玲くんに降ろしてもらい、無事に着陸した。
もう一度、ギュッと抱き締めて彼の温もりに酔いしれる。

「真琴?左手出して。」と言われ自然と左手を出すと…キラキラと光る一粒の宝石があしらった指輪を嵌められた。
ああ。どこまでも格好いい、紳士なあなたの事を好きにならない訳がない。
まさか、指輪まで用意してくれていたなんて想像もしていなかった。

「玲くん。ありがとう。」
今まで生きてきた中で味わったことのない幸福感に包まれる。

「真琴?絶対外しちゃだめだから。
 外す時は俺に言うこと。
 これで俺も心配事が一つ減ったな。」
然り気無く、指輪にキスをして。

「うん。」

外すなんて、しないよ。
玲くんとならどんな事でも一緒に乗り越えるます。と指輪に誓う。



せっかくだから両親にも挨拶をしようと私の実家に寄ることにした。
私も久しぶりに会いたいと思っていたから。
公園からすぐの場所なのと、駐車場が一台しか置くスペースがないので徒歩で実家まで行く事にした。

歩き慣れた道も今日は何だかいつもと違った景色に見える。
ここまで丸め込まれてる気持ちに何度がなったけど、もう忘れようと思った。
玲くんがそこまでしてくれなかったら私たちは別々の人生を歩んでいたかも知れないから。
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