婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
自宅に帰って、早速テーブルの上に取り出すと、その美しさの秘密を解き明かしたくて、探るように顔を近付けて覗き込んだ。
その時、水晶に見えたのは一点の曇りもない透明でも、下に敷いた紺の布地でもなかった。
「なに、これ」
戸惑ったのは一瞬だった。
じっと見つめているうちに、そこに次々流れていく〝映像〟が、自分の前世の姿だと、全てを悟った。
ー春宮さくらー
それが、前世での私の名前だった。
日本という国に生まれた私は、良くも悪くも平凡だった。家は中流程度、容姿は可もなく不可もなく。
年頃になれば、男の子と付き合う経験もした。
大学を卒業すれば、まあまあの会社就職した。
そんなありきたりな女性だったけれど、一つだけ、人より秀でた特技があった。
それが〝占い〟だった。
その時、水晶に見えたのは一点の曇りもない透明でも、下に敷いた紺の布地でもなかった。
「なに、これ」
戸惑ったのは一瞬だった。
じっと見つめているうちに、そこに次々流れていく〝映像〟が、自分の前世の姿だと、全てを悟った。
ー春宮さくらー
それが、前世での私の名前だった。
日本という国に生まれた私は、良くも悪くも平凡だった。家は中流程度、容姿は可もなく不可もなく。
年頃になれば、男の子と付き合う経験もした。
大学を卒業すれば、まあまあの会社就職した。
そんなありきたりな女性だったけれど、一つだけ、人より秀でた特技があった。
それが〝占い〟だった。