婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
ドリーに状態を説明しながら、水を張った容器とタオルを用意する。


「オオカミの獣人だったみたい」

「ああ、知ってた」

そうか。ドリーは真実の姿が見えるんだったわ。
わかってたなら、教えてくれても良さそうなものなのに。ここの従業員は、圧倒的に言葉数が少ないと思う。


「しっかり話をしてたし、もう少し休んでもらえば大丈夫そうよ」

「そうかい」

「あ、あと、あの男の人は……?」

「ああ、問題ない」


問題ないとかじゃなくて、どこから入ってきたのか?とか、どこの誰なのか?とか……
疑問しかないけれど、〝問題ない〟ときっぱり言い切ってニヤリとしたドリーに、一旦口をつぐんだ。







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