婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
「どうぞ」

「ありがとうございます」


部屋にもどると、ジャレットは人間の姿にもどっていた。
怪我をした箇所を冷やして、心地良さそうに表情をわずかに緩めたジャレットに、ホッとした。


「朝食は、ここで食べますか?」


ジャレットは、もうしばらくおとなしくしている必要がある。ルーカスの分も含めて、食事を部屋に運んでくることを提案した。


私の問いに、ジャレットが確認するように視線をルーカスに向ける。
返事は彼に代わって、ルーカスが答えた。


「気遣いありがとう。ここへ頼む」

「わかりました。後ほどお持ちしますね。なにかありました、声をかけてください」


怪我人のいる部屋に長居すべきじゃない。さっと立ち上がって部屋を後にしようとしたその時、不意打ちで手首を掴まれた。



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