婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
「なあに百面相しとる」

ドリーの声にハッとした。

「王太子だろうとなんだろうと、来たければ来ればいい」

「でも……」 

「あんたはライラ。ライラ・ガーディアンだろ?庶民のライラにとったら、王太子など初対面の他人にすぎん」


そうなのかしら?
それでいいのかしら?


ドリーの言葉を、心の中で繰り返すうちに、しだいに落ち着いていく。


今の私に、貴族の令嬢らしさなんて微塵もない。
ドレスなんて一着も持っていないし、伸ばしていた髪も肩のあたりでバッサリと切った。
掃除もすれば給仕もする。
言葉遣いだって庶民そのもの。大声も出す。


セシリア・ローズベリーという人間は、もうどこにも存在しない。

 
なにも恐れることなんてない。













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