婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
「そんなの関係ない。だって、セシリアはなにもしてないんだろ?」


私のことをよく知っているヴィンセントには、誤魔化しなんて通用しない。


「そうね。私は、神に誓って無実だって言える」

「だったら……」


顔を歪めて訴えかけてくるヴィンセントに、それ以上言わせないように手を突き出して遮った。


「お願い、ヴィンセント。これからは、自分のしたいように生きたいの」

「セシリア……」


私の覚悟が相当堅いと悟ったのか、しばらくギュッと目を閉じていたヴィンセントは、彼もまた意を決したように、パッと目を開いた。






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