伯爵令嬢のつもりが悪役令嬢ザマァ婚約破棄&追放コンボで冥界の聖母になりました
 エレナの指でサファイアの光が強まる。

 キッチン全体が青い光に包まれる。

 頭がズキズキと痛み出す。

 変な鼻歌も、耳障りなおしゃべりも、思い出そうとするのになぜか記憶から消されていく。

 覚えていることを思い出したとたんに、書き留めたメモ用紙を破り捨てられるようにきれいさっぱり消えてしまう。

 エレナの体の中がうずき始める。

 体が震え、火照る。

 あたしはあんただし、あんたはあたしだし……。

 なぜその言葉だけは消えないのですか。

 あんたはあたしだし、あたしはあんただからだよ。

 わたくしが妖魔だと言うのですか。

 体がうずき、火照る。

 自分を抱きしめてしまわないと弾け飛んでしまいそうだ。

 あんたはあたし。

 はじけちゃえばいいじゃん。

 あんたは妖魔。

 冥界の帝王だってたぶらかしちゃう淫靡なサキュバスでしょぉ。

 はじけちゃえばいいんじゃなーい?

 いいじゃん、いいじゃん。

 あんたはあたしなんだもん。

「ち、違います」

 ちがくないしぃ。

 分かってるくせにぃ。

 ホントわぁ、もっと愛されたくってぇ、あれもこれもしてほしぃのにぃ。

 おねだりしちゃえばぁ?

 ほしくてしょうがないんでしょぉ。

「いいえ、違います」

 うそぉ、隠したってダメぇー。

 だってぇ、あたしはあんただもん。

 ぜーんぶ、分かっちゃってるんだからぁ。

「違うと言っているではありませんか」

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