伯爵令嬢のつもりが悪役令嬢ザマァ婚約破棄&追放コンボで冥界の聖母になりました
よろめきそうになる気持ちを奮い立たせて言い返してみても、その言葉をぶつける相手はもうどこにもいない。
自分自身の言葉だけがただ自分に突き刺さる。
むしょうにのどが渇く。
火照った体の渇望に苦しみながらエレナは屋敷の外へ出た。
体が赤い実を欲している。
あの赤い実を食べれば楽になる。
のどの渇きを癒やすために、エレナは赤い実がなる木へと歩み寄っていった。
ちょうどうまいぐあいに屋敷を取り囲む木々の下に実が転がっている。
でも、それは青い実だった。
それは永遠に苦しむ毒の実だ。
甘美な快楽をもたらすのは赤い実だ。
木になっている熟した赤い実に向かって、エレナは震える腕を伸ばした。
そのとき、聞き覚えのある声が聞こえた。
『……ママ、ごめんなさい……』
ミルヒ!?
『……ママ、ごめんなさい……』
どこなの?
エレナは荒く乱れた息をおさえながら声のする方へ進んでいった。
闇の中に白い光が浮かび上がる。
「ミルヒ!」
返事はないし動かない。
駆け寄って抱き上げると、子犬はエレナの腕の中でぐったりとして口から泡を吹いた。
「どうしたのですか、ミルヒ」
すぐそばに青い実が転がっている。
かじった跡がついている。
「ミルヒ、青い実を食べたのですか!? 吐きなさい」
わたくしが甘やかしたからですか。
わたくしが放っておいたからですか。
なぜおまえが罪を重ねなければならなかったのですか。
「吐き出しなさい」
エレナは口を開かせようとした。
と、そのときだった。
ガブリッ!
「いたっ!」
ミルヒがエレナの指を思い切り噛んでいた。
ちぎれたのではないかというほどの痛みに襲われて思わず彼女は子犬を突き飛ばしてしまった。
ふらつきながら立ち上がった子犬がこちらをにらみつけている。
血にまみれたその口には太い牙が生えている。
その目つきはまるで飢えたオオカミのようだった。
自分自身の言葉だけがただ自分に突き刺さる。
むしょうにのどが渇く。
火照った体の渇望に苦しみながらエレナは屋敷の外へ出た。
体が赤い実を欲している。
あの赤い実を食べれば楽になる。
のどの渇きを癒やすために、エレナは赤い実がなる木へと歩み寄っていった。
ちょうどうまいぐあいに屋敷を取り囲む木々の下に実が転がっている。
でも、それは青い実だった。
それは永遠に苦しむ毒の実だ。
甘美な快楽をもたらすのは赤い実だ。
木になっている熟した赤い実に向かって、エレナは震える腕を伸ばした。
そのとき、聞き覚えのある声が聞こえた。
『……ママ、ごめんなさい……』
ミルヒ!?
『……ママ、ごめんなさい……』
どこなの?
エレナは荒く乱れた息をおさえながら声のする方へ進んでいった。
闇の中に白い光が浮かび上がる。
「ミルヒ!」
返事はないし動かない。
駆け寄って抱き上げると、子犬はエレナの腕の中でぐったりとして口から泡を吹いた。
「どうしたのですか、ミルヒ」
すぐそばに青い実が転がっている。
かじった跡がついている。
「ミルヒ、青い実を食べたのですか!? 吐きなさい」
わたくしが甘やかしたからですか。
わたくしが放っておいたからですか。
なぜおまえが罪を重ねなければならなかったのですか。
「吐き出しなさい」
エレナは口を開かせようとした。
と、そのときだった。
ガブリッ!
「いたっ!」
ミルヒがエレナの指を思い切り噛んでいた。
ちぎれたのではないかというほどの痛みに襲われて思わず彼女は子犬を突き飛ばしてしまった。
ふらつきながら立ち上がった子犬がこちらをにらみつけている。
血にまみれたその口には太い牙が生えている。
その目つきはまるで飢えたオオカミのようだった。