イミテーション・ハネムーン
「確かにその通り…でも、僕達は縁があって一緒に旅をした仲だ。
このまま君を放っておくわけにはいかない。」

私は彼の言葉を鼻で笑った。



「仕事熱心なのね。」

そんな嫌味が口を吐いて出た。
圭吾さんは、顔を上げ、私をじっとみつめた。



「仕事は関係ない…」

「じゃあ、何なの?」

どうしてこんなに突っかかってしまうのか、自分でも良くわからなかった。



「君は、多分…僕と同じような経験をしてるんだと思ったから…」

やっぱり…先日の友達の話は、やっぱり圭吾さんのことだったんだと確信した。



「放っといて。
私はもう……」

「僕だって立ち直れた!君だって、必ず…」

「私には無理よ!
私はあなたみたいに強くない!」

「僕だって強くなんかないさ!」

「私はあなたよりずっと弱いの!」

なぜ、私はこんなに意地を張ってしまうのだろう…私の声は高ぶった感情のために震えていた。



「……だったら……僕が君を支える。」

「……え?」

圭吾さんは、私の手を掴むと急に立ち上がった。



「急いで逃げるんだ!」

「え…な、何を…」

圭吾さんは壁の時計を顎で示した。



「山本さんが来る前に、逃げよう!」


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