Young days
そう言って笑ってるうちに、伊織の心は晴れた。早速1人目の客が来て、秀晴は仕事を始め、伊織は家へと戻った。


ビールを飲んでる父の横で、冷蔵庫から取り出したイカ刺しのラップを外すと、父の視線が気になった。


『どしたの?トト。』


『ん…?うぅん。イカ刺し美味そうね。』


『トト食べてないの?イカ刺し。』


『食べた。とってもデリシャス。』


『足りなかったの?』


『足りたよ。もう、全然。お腹いっぱい。』


『そんな美味しいかったんだ。え?魚松のイカじゃないの?』


『魚松のイカだよ〜。ウチはずっと魚松だよ〜。』


『じゃ、いつものイカじゃん。まぁ、美味しいけど。』


父は明らかにぎこちない会話しか出来ず、全然酔えないビールを一気に飲み干した。


いつもの娘に戻ったと、母は黙って冷やし中華を出した。


『麦茶でいぃ?』

『ありがと。』


伊織は普通に夕飯を済ませ部屋へと戻った。

すると、置きっぱなしにしてったスマホのメッセージに気付いた。


それは流唯からだった。


"海?"


それを目にした瞬間、新しいメッセージが届いた。


"窓"


伊織は部屋のカーテンを開き、窓を開けた。


2人の部屋は窓越しに会話の出来る距離にある。


『何してんの?』


『お前待ってたんだよ。』


『はぁ?』


『このTシャツと、こっちの赤とどっちがイケてる?』


伊織は、莉乃さんとの再会に浮かれる流唯を見て思わず窓を閉めカーテンを引いた。


"そんな事しても無駄なのに…"

"そんな顔して笑わないでよ…"


そう思いながら、スマホに文字を打ち込み送信した。


"赤"
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