Livre magie〜桜色の魔女〜
「実は私、孤児なんです。孤児院で幼なじみと支え合って生きていたんですけど、親友が数ヶ月前に行方不明になって、もう行き場がないんです」

「それなら、僕の家で暮らせばいいよ!」

僕は深く考えずに言っていた。だって、エリカとの出会いをこれっきりにしたくなかったから。エリカに笑ってほしいと思ったから。僕が言った言葉に、リオンもエリカも驚いている。

「これからよろしくお願いします、先生!」

エリカの顔は笑顔に戻ってくれた。心が温かい。

「まあ、部屋はたくさん空いてるし、父さんたちも追い出したりしないだろ」

リオンが何故かニヤニヤしながら僕の肩に手を置く。何でそんな顔してるんだろう?

「浜辺に出る幽霊は、波にかき消されて消えていった」

僕たちは小説の最後の文を口にする。すると、白い光に僕らは包まれていった。

この胸の高鳴りが何なのか、わからない。でもエリカがいる毎日がとても楽しみなんだ。





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