会長サマと、夢と恋。
「会長、本当にありがとうございます」
「別に、自分の受験の復習にもなるから」
「そうなんですか……、会長、どこの大学に行くんですか?」
さすがにそこまでは教えてくれないよね、なんてダメ元で聞いてみると、会長が口にしたのは、隣の県にある一流大学の名前。
「えっ、⁉︎ ……うちの学校から、そんな有名なところに行く人いるんですね……」
「……まあ、珍しいのかもな。今んとこ、A判定だから合格圏内だけど」
決して自慢気ではない、会長の言葉に目眩がしそうになる。
……そんなにすごい人に勉強を教わってるなんて……!
「俺も、模試でS判定目指してるからな。……お前に教えることで、一年の範囲からやり直せて、よかったって思ってる」
会長はわたしの方を見ることなく、ノートにペンを走らせながら言った。
お互い、利益があるなら、この勉強会もいいことなのかな。
「……それにしてもお前、よく喋るな。勉強しろ勉強」
「は、はい、すみません」
「そんだけ喋れるなら、生徒会に入ったとしても大丈夫だろ」
「え……」
「冗談だよ。とりあえず教科書の俺が付箋つけた問題、ひたすら解け。つまづいたら声かけろ、説明するから」
岸会長の良さって、声だけじゃないのかもしれないな。
そんなことを思いながら、わたしも問題に取り掛かる。会長のノートを見ながらだと、スムーズに進むような気がした。