会長サマと、夢と恋。
ちょっとだけ赤く染まった頬を見て、やっぱり長沢先輩って美人だな、と思う。
……不思議と、彼女がウソを言っているようには思えなかった。
「あの、なんでわたしに、そんな大事な話を……」
「決まってるじゃない、宣戦布告」
次に顔を上げた彼女は、いつもの気の強そうな真っ直ぐなまなざしに戻っていた。
大きな目は、もう揺れていない。
「わたし、岸くんと同じ大学を目指すって決めたの。岸くんのこと、あきらめないから。いつか、振り向かせてみせる」
「え……」
岸会長が目指しているのは、国立大学の中でもさらに一流と言われる大学。
聞けば誰もが、「すごいね」って言うような……。
「あなたと岸くんのつながりは、長くても来年3月、岸くんが卒業したら終わりよね。でもわたしは、その後も彼と同じ大学に行く。長い時間かければ、わたしが本気だって、わかってもらえるかもしれない」
長沢先輩は、いつか会長をもう一度振り向かせるつもりなんだ。
そして彼女なら、いずれその目標を達成できるような気がした。
……じゃあ、わたしは?
あと一年もしないうちに学校からいなくなってしまう会長を、卒業までそばで見ているだけなのかな。
そもそも、会長の任期が終わったら、近くになんていれないかもしれない。
受験が忙しくなったら、勉強会だって、どうなるかわからない。それに、
「どうしてわたしに、参戦布告なんか……」
岸会長のことを好きな女子は、なにも長沢先輩とわたしの二人だけじゃないはずだ。
川西先輩もいつだったか、「岸くんは同学年の子に人気がある」って言っていたような気がする。